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日別アーカイブ: 2025年6月23日

第12回介護業雑学講座

皆さんこんにちは!
シニアコート菜康苑、更新担当の中西です。

 

さて今回は

大きな違いについて

ということで、両者の違いを項目別に詳しく解説し、日本の今後の制度改革に向けたヒントを探ります。

 

少子高齢化が進む現代社会において、介護保険制度の在り方は国の未来を左右する重要なテーマです。介護先進国として知られるヨーロッパ(特にドイツ・スウェーデン・フランス)と日本の制度を比較すると、制度設計の哲学・財源構造・家族支援の考え方などに大きな違いがあることが分かります。


◆ 比較1:制度の成り立ちと背景

項目 ヨーロッパ 日本
制度開始 ドイツ:1995年(世界初の介護保険) 日本:2000年(ドイツを参考に設計)
背景 福祉国家モデル、高齢化の早期対応 家族介護への依存の限界、高齢化の急進展
政策哲学 「国や自治体が担う公的責任」 「家族と社会の協働」

◆ 比較2:財源と保険料の構造

項目 ヨーロッパ(例:ドイツ・スウェーデン) 日本
財源構成 社会保険方式+税(国により異なる) 社会保険方式+公費(税)50%前後
保険料負担者 労使折半(ドイツ)、住民税ベース(スウェーデン) 40歳以上の全員が対象
自己負担割合 所得応じて変動(応能負担) 原則1〜3割(応益負担)

ヨーロッパの多くは「応能負担」型で所得に応じた公平性を重視


◆ 比較3:サービスの提供形態

項目 ヨーロッパ 日本
在宅 vs 施設 在宅介護重視(現金給付支援あり) 在宅・施設のバランスを模索中
サービスの多様性 自治体裁量による柔軟な運用(フランス等) 全国一律の制度に基づくサービス設計
自立支援 自立重視(リハビリ型介護が主流) 最近は「自立支援介護」への転換中

スウェーデンなどは「家族に頼らず、国家が支援する」思想が強い


◆ 比較4:家族介護支援の考え方

項目 ヨーロッパ 日本
家族への支援 現金給付や介護休暇制度が充実 現金給付はなし、家族の負担が前提
介護の担い手 家族以外(公的介護労働者・NPO)に移行 家族と訪問介護のハイブリッド型
育児との比較支援 両立支援制度が確立(ワークライフバランス政策) 制度化は一部にとどまる

◆ 比較5:制度の柔軟性と将来性

項目 ヨーロッパ 日本
自治体裁量 高い(制度運用を地方に委ねる国が多い) 低い(全国一律のサービス基準)
多様な制度設計 地域の文化・需要に応じた設計が可能 制度変更には法律改正が必要
持続可能性 財源改革(税投入や保険料見直し)進行中 少子高齢化で制度維持が課題

◆ 日本が学ぶべきポイント

  1. 所得に応じた公平な負担制度(応能負担)

  2. 家族介護者への現金給付・休暇制度の導入

  3. 自治体裁量の拡大による地域最適化

  4. 介護人材への処遇改善と職業としての地位確立

  5. 施設依存から自立支援型在宅ケアへの転換


◆ まとめ

ヨーロッパの介護制度は、「公的責任」「自立支援」「家族負担の軽減」を柱に、社会全体で高齢者を支える仕組みを構築してきました。一方、日本の制度は「家族依存」「応益負担」「一律運用」が中心であり、今後はさらなる制度柔軟化と地域対応力が求められます。

国際比較を通じて見えてくるのは、「介護をどう社会で支えるか」という問いへの多様な解答です。これからの日本に必要なのは、持続可能かつ利用者本位の制度改革と言えるでしょう。

 

 

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